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日本語学・日本語教育を研究する人へ贈る、統計学の超入門書。学生にとっては「誰も教えてくれない」、教員にとっては「今さら聞けない」統計学を、会話形式で提示する具体的な課題のもと、考え方からソフトの使い方まで学べる。
◾︎本書の紹介
「文の自然さ判断に有意な差はありますか?」
文学部3年生の「堤さん」に、心理学ゼミの「エン先生」が統計学をレクチャー。
日本語研究をパワーアップ!
※統計ソフトはSPSS Statistics(Ver. 29)、js-STAR(XR+)を使用(後者はウェブ上のフリーソフト)。
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この本は、日本語学や日本語教育を研究している、次のような人に手に取ってもらいたいと思っています。
・レポートや卒業論文を書いているのだけれど、データの数を数えたり、アンケートをとったりして、「全体の~%が……」とか「平均値を比べると……」という研究をしたい/している大学生のみなさん
・修士論文や博士論文で数を扱う研究をしたいと考えている院生のみなさん
・統計はやったことがないけれど、指導の行きがかり上、統計ができた方がいいと思っている大学(や高校)の先生方
(中略)
統計を使ってみたいと思っている方は、日本語を研究している人の中にもたくさんいらっしゃると思います。しかし、テキストはそれほど多くはないようです。また、日本語の研究にどのように使えるのかについて示したものはもっと少ないと思います。
この本で気をつけたことは、「とにかくわかりやすく」することです。統計とはどのようなものかということについての私の理解は、ある母集団から得られた、限られたデータを分析することによって、その母集団すべての結果と見ることができるというようなものです。
(中略)
統計は数学です。多くのテキストには(少なくとも私にとっては)とても複雑な数式が載っています。本書は、あえて、極力数式を使わずに説明することを心がけました。どのようなデータを集めて、どのような手順を踏めば、どのような結果を手に入れることができ、それはどのように読んで解釈すればいいのか。このことの解説にできるだけ力を注ぎました。閻さんは、優秀な心理学者として、本当はいろいろと解説しなければならないと感じておられると思います。しかし、私の強い希望で、できるだけ簡単にしました。そのことによる不備はすべて私の責任です。
それでも、「ド素人」の私が、学生になって、わからないと感じたところを詳しく解説するようにしましたので、同じように統計をやったことがない方にもわかっていただけるのではないかと思います。
テキストの中では、私は数十年若返って、大学生になっています。私が出すテキストにはなぜか私のイラストが多用されるのですが、こんなに若いツツミを見るのは初めてです。エン先生は閻さんがモデルになっています。
(堤良一「はじめに」より)