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実践シリーズ<12>名詞(上級)

備考

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 この「上級編」は日本語能力試験1級合格はもちろんのこと、それ以上のレベルの人を目指す日本語ブラッシュアップのために編まれたもので、日本の社会や文化の諸分野で使われている語彙を幅広く用いて、外国人向けに分かりやすい表現で作成しました。新聞や小説、エッセイなどが理解できるレベルです。本編で用いられている語彙や用法の学習を通して、日本の本当の姿が見えてくるのではないかと思います。
 この本は2章に分けて、1章では日本社会で使われている抽象的概念や社会現象を表す名詞を、2章では日常生活、といってもより高い知的文化をエンジョイするための名詞を取り上げました。必要最低限の基礎的な名詞は当シリーズNo.11『名詞』(初・中級)をご参照ください。
 
 言葉は時代と共に変わっていきます。その変化に一番敏感なのは名詞です。それは、物や概念などをものの名として反映している名詞が、必然的に社会の変化に直接影響される立場にあるからです。また、度忘れしてなかなか出てこない言葉も名詞です。動詞や副詞は度忘れしないのに、なぜ名詞は忘れるのでしょうか。それは「ことばの数ではチャンピオン」と(初・中級)で触れてあるように、数の膨大さも原因の一つですが、内容語として実体や、そのもの自体を示す名詞は、それを述べる代わりに「あれ」と言うだけで、後は動詞などで説明すれば通じさせることが可能だからです。名詞の性質上、結果的には文化論となったこの本は、ディベート、ディスカッション、小論文、スピーチなどの教材としても十分満足いただけるものと思います。
 
 新しい言葉、消えていく言葉、まさに言葉は自然淘汰を繰り返す生き物です。言葉を大切にするということは、消え行く言葉をいとおしみながらも新しい時代の言葉を受け止めることだと思います。
Enjoy 名詞、Enjoy 日本文化!
 
 この本が日本理解の足掛かりになれたら最高です。

1998年7月発売
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